私が1992年2月17日から“長期旅行”をしていた、ということをご存じの方もいらっしゃることと思います。
“旅行”とは「徒歩または交通機関によって他の地方に行くこと」(広辞苑より)です。
長期旅行、というのは嘘ではありません。ただ、観光目的の旅行、となると嘘になります。
2月17日から3月4日まで、同じホテルに連泊…これは私がある能力を身に付けるため、となると嘘ではなくなります。
そして今現在、私は小型特殊自動車の運転免許を持っている、となると嘘ですが、私は小型特殊自動車を運転することができる、となると嘘ではなくなります。
しかし、旅行期間中に私は小型特殊自動車を運転していた、となると嘘になります。
でも、おそらく私は小型特殊自動車に乗ったことがあります。
中学3年の時、京都修学旅行の代替として(?)秋田へ学習旅行(=稲刈り旅行)に行った際、農家の方に乗せていただいた記憶が…。あれはきっと小型特殊自動車だ!とはいえ、あの時は確か他にも数名(班員)が一緒に…小型特殊自動車の定員を越えていたような…。のろいけれど力持ちだから「よし!」としよう…。
でもこれで、私も小型特殊自動車が運転できる(ここまでは嘘ではない)んだなーと、物思いに耽ってしまう今日この頃(これで嘘)、今は旅行前同様にだらけた生活を送っていますが、旅行中は早寝早起き且つ落ち込みの連続でした。
山形県鶴岡・初日。「ゴーカート気分で…」などと言われつついきなり乗車、運転させられて、「こんなに難しいことをみんなやっていたのか…」と落ち込み、更に安全確認だのウィンカーだの曲がり角前で減速だの左折小回りだのキープレフトだの左方優先だの、そんな一辺にできるかー!と怒鳴りはしなかったものの、そういう心境でした。
おかげで、第3段階まで全て一時限ずつオーバー…(合宿の人は殆どオーバーしないようであったが、私は人一倍鈍いのでオーバー)。短期集中のためスケジュールはハードだし…。
上に列挙したような基礎が苦手な私であるが、坂道発進,S字,クランク,方向転換,縦列駐車はむしろ“得意”でした。
この5つの共通点は、ゆっくりやれること。早くやれー!と言われることなくマイペースにね。
ベテラン・ドライバーたる免許取消のおっちゃんに「バックうまいね」(下ネタじゃない)と言われた位ですからね。
クラッチ操作が好き、って言えばいいのでしょうか。初めてS字やクランクをやった時には、「乗るなら絶対にマニュアルだね!」と興奮しました。
それでも、基礎がなってないので第3段階のみきわめが規定の9時限目にもらえず、「明日の修了検定は受けない方がいい」と女性の指導員に言われて落ち込む…。
その日の午後にもう1時限配車してもらい、この時に手取り足取り基礎から徹底的に教え込まれて、何とみきわめをつけられてしまった…。
私は「まだ自信がないのでつけないでぇ〜!もう少し練習してから受けたいよぉ〜…」と絶叫したが聞き入れてもらえず、次の日の修了検定を受ける羽目になってしまったのです。
当然合格するとは思っていませんから、「予行練習のつもりで受けよう…」と自分に言い聞かせつつも心臓ドキドキ。無線でコース通りに走れず大失敗したこともあり、検定のコースを覚えるのに冷や汗タラタラ。
…ここでまず奇跡がひとつ起きます。坂道発進でハンドブレーキを完全に戻し損なった他に大きなミスもなく、何と修了検定に合格、仮免許の学科試験にも合格し、仮免許を取ってしまったのです!(2月27日)
第3段階10時限目の指導員に感謝したのも束の間、仮免取ったその日の夜に路上に出て、スピード恐怖症の私は指導員の「もっとスピード出して!」におびえつつ、5速で進路変更中にブレーキだけ踏んでエンスト、後方からクラクション攻撃を受けてめちゃくちゃ焦る…(路上2時限目)。
いやー…でもこの時の路上の恐怖感はまさに“初心”ですね。この時のこの気持ちは、これからもずっと忘れずに持っていたいなーと思います。
また、この事件によって、「乗るなら絶対にオートマだね!」に変更されました。
6時限目まではとにかくスピードに慣れる、ということで法定速度にビビり、7時限目からは鶴岡市内で歩行者や交通量の多さでビビる。
7〜8時限目で停止する際クラッチを早く踏む癖を直される。このおかげか9〜10時限目で遂に指導員から「うまいうまい、これなら卒検受かる」と言われました。
でもね、うまいって言われてもまだ自分に自信がなかったため、「そうですかぁ〜エヘエヘ」なんてことは言えません…これは私の正直な気持ちでした。
修検といい卒検といい、その直前になって急に合格レベルに達するようです。私ってもしかしたら、大器晩成型?
合宿最劣等生であった私が、3時限オーバーしただけで各試験全て一発合格、3月3日、卒業。
ホテルでできた友達とは後日、みんなが免許を取ってからまた集まろうということになりました。
私は実費でもう一泊して、3月4日に帰宅。3月9日、県の学科試験が96点の一発合格(坪井くんに1点負ける)、入校から22日目にして待望の免許取得!
私が免許を取ろうとした最大の理由は、ドライバーの立場になってみたかった、ということです。
自宅に車のない生活を20年以上送ってきた私にとって、車を自分の“足”として使うことは大した魅力もなく、どこへ行くにも電車,バス,自転車,徒歩でもあまり不自由さを感じません。
でもね、本当のことを言うと、私は免許を持っている同世代の人達が羨ましくて仕方なかったのです。
車を運転できることそれ自体が、認めたくはないが認めざるを得ない高等技術のように思えてなりませんでした。
まわりの人達が次々と免許を取得する中、私だけが世間から孤立していくような錯覚に陥って…遂に免許が欲しくなりました。
しかしそれは私が車を運転したくなった、ということでは決してありません。
運転はしなくても構わない、とにかく免許を取ってドライバーというものになってみたい…。
能力的に、運転免許が取れない人間であると思われたくなかった、というのもあります。
友達の運転する車に乗る度に感じていた一種の劣等感を拭い去るには私が運転免許を取得する以外に道はなし…。
一応車を購入する予定があり、ペーパードライバーになることは避けられそうですが、1年間は誰も乗せずに近所で練習、その代わり原則として他人の運転する車には乗らない(例外…運転代行業など第二種免許取得者の運転する車,第一種免許取得から10年以上を経たベテランの運転する車,車を乗ることによって得られる利益がハンパでないと特別に認められ、私が運転しないことを承認して下さる人が運転する車)ことが可決されました(どこで?)。
自分の運転に自信を持つことは、人の運転を信頼することにつながることでしょう。
でも、自信過剰は禁物ですよね…。(注・上記の“車”は必ずしも大型自動車,大型特殊自動車,牽引自動車,自動二輪車,小型特殊自動車,原動機付自転車,軽車両,オート三輪,ミニカー,スケートボードを含みません。“ミニカー”は、小さい頃に砂場でトンネルや高速道路を造って遊んだおもちゃのミニカーじゃありません。スケートボードは略して“スケボー”です。しかしながらスケボーは交通法規上“歩行者”だと思うのは私だけ?)
以上、マニュアルとオートマ、どちらにしようか悩む私のドキュメントでした(ギアチェンジに気をとられて事故を起こすのではないか、せっかくマニュアルで練習したのだから…、オートマには大好きなクラッチがない、私は右左折前の減速チェンジが苦手だが慣れると楽しそう、クラッチを踏みながらカーブや交差点を曲がるのは恥ずかしいしクラッチを傷めるからやめようね、オートマはエンストしにくい、マニュアルは安い、と双方長短所がある…)。
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